大好きな桜庭一樹先生の作品の中でも、特に好きな『私の男』が映画化するということで、楽しみにしていた綾瀬です。
ここで『私の男』について描いた記事を! ……と思ったら、描いてないじゃないですか私。何たる段取りの悪さ……。
すごく書いた記憶があったのですが、この記事でチラリと触れているだけでした。
見なければ見なければと思っているうちに時間が経過し、調べてみたら……。
もうほとんどロードショー終わっているではないですか!!
急いで、スケジュールを調整して、急遽上京してきた綾瀬です!
そして、昨日なんとか滑り込みで鑑賞してきたのでした。
感想。ですが。
一晩たって落ち着いたので書こうと思うのですが。
あ、ここからは久しぶりにネタバレ込みでいきますのでご了承ください。
ええと。
私、このブログで初めて、批判します!!
圧倒的なコレジャナイ感……。
何でしょうか、おすすめポイントといえば、「二階堂ふみちゃん可愛かったよ! 体当たりだよ! ふみちゃんの裸……裸きゃーー!!。」
くらいですかね。
久しぶりに映画見て消化不良になりました。
これじゃあただの悪口なので……。
なるべくきちんと書こうと思うのですが。
まず、一番思ったのは、原作を読んでない人がどう感じたのか? です。
私は原作を知っているので、その上での納得いかなさがあるのですが、一緒に行ってくれたお友達の意見をまず聞いてみたところ。
「久しぶりにつまらない映画見て、お金損したと思った。」
でした……。
やっぱりそうなのか、と。
ええと、主題が全く見えないんですよね。
結局何が伝えたかったのかが分からなくて。
原作でそれほど描写されていなかったシーンをやたらと濃く取り上げたり、映画版の解釈で追加されたシーンが全く生きているように感じられなかったり。
なんだか無駄に軸だけぶらされて、骨抜きにされたような印象。
もう一つは構成。
原作ものが映像化されるに辺り、構成が変更されることは仕方のない事だと思っています。
映画には映画のロジックがあるので、原作はそのまま良い脚本とは成り得ない。
だからこそ脚本化という作業が重要になると思っているのですが。
あえて言うのであれば、原作は時系列を遡っていくような構成になっています。
一番最後に、一番古い話が来て……というと少々語弊があるのですが、それでこそ印象的なラストになっている。
映画はそれを、時系列で追っていきます。
なので、原作の最初のシーンでお話が終わるわけですが。
私驚いて、「えっ!?」と劇場で声だしちゃいました。
いいんですよ。別にそのシーンで終わるのはいいんです。
何その描写……。ってのがあって。もう、は……? だったんですよ……。
それより何より、時系列でたどるなら、そこ語らなくてどうするの!!ってシーンがまるっまるカット。
そのせいで、小町さんはただの過去の人になっているし、二人が抱え続けてきた2つの殺人の影もまーるで重みなし。
なんじゃこれ……となったのでした。
そして、淳吾と花の関係。
なーーんかもう、うっそくさくて。
何がって肝心なところのディティールがことごとく落ちてて、なんだか中身の無い「禁断の愛、近親相姦」ってことだけがひとり歩きしていて、リアリティも原作の独特の気持ち悪さを通り越してなんだか神がかってしまった二人の関係も、何も描けてない。
もう、ふみちゃん体張ってる!! しか、ない。
ああ、すみませんもうやめますね……。悲しくなってきたので……。
国際映画祭で受賞もしたようですが、とにかく私の感性とは合わなかったようです……。
正直に、楽しみにしていただけ、本当に残念な作品でした。私としては。
ただ。
原作、桜庭一樹先生の『私の男』は、ほんとうに素晴らしい作品だと思います。
直木賞受賞作でもありますが、その看板に勝るとも劣らない内容です。
ぜひ、手にとっていただけたら嬉しいなと、一人のファンとして、思います。
映像化、ってやっぱり難しいんですね。
「小説は最も高尚な表現だと思う」という友人の発言を反芻した夜でした。
それではもう一度最後に。
原作、『私の男』綾瀬みうは心から推薦いたします。