ここに辿り着くまでに、随分時間がかかってしまいました。もうとっくに読み終わっていたのに。
そういう怠惰でダメな自分というものと、今まで何度も対峙してきましたが、かっこ良く克服出来たことはありません。
克服、ってなんでしょうね? 困難とはなんでしょう。
乗り越える、ということが様々なシーンで求められますが、本当にその全ては乗り越えなくてはいけないものなのでしょうか?
そんなことを考えだしたら、この本を読めばいいのだと思います。
私が家入一真さんに興味を持ちだしたのは最近です。
お名前だけは知っていましたが、どんな人か知りませんでした。
Twitterアカウントを取り、このブログを作った頃、様々な人をフォローしていく中で、「そうだ。家入さん、この機会に追いかけてみよう」と、ふと思ったのが始まりだった気がします。
その選択は、大いに正解だったように思います。
いきなり色々衝撃的でした。
特に口座晒しは、振り込みをしてもらった大学生のリアルタイムツイートを目撃したりして、価値観がぐらぐらと揺らされたのを覚えています。
そして今このブログを運用すべくレンタルしている「ロリポップサーバー」を作り上げた人だったわけです……。
彼がWeb上で行うさまざまな「祭り」の中の一つに、「本を旅させる」というものがありました。
家入さんの著作物を読み終わった人が、それをTwitterでつぶやき、読みたい人の元へ旅立たせるという企画。
もちろん家入さんの懐には一銭も入りません。一冊の本が回し読みされていくわけですから。
でも彼は「どんどんやれ。どんどん繋がれ」というわけです。
そして今、私の手元にあるのは、ダイスケ鹵(高木大輔) @DAISUKE_TABさんからスタートし、ruka @oym8rkさんを経て届けられた、『もっと自由に働きたい』なのです。
ここからは、いつものネタバレを含む感想ですが、そんなスタイルの家入さんの本ですので、いつもより少し踏み込んで書きたいと思うのです。
4つのSTAGEと、細かい項に別れたその一つ一つ全てに対して、思ったことを書いてみようと思うのです。
気になったら商店で買ってみるのも、Twitterでホストファミリーになってみるのもいいと思います。
ただひとつ思うのは、この本は手元において、何度も読み直す本かもしれないということです。
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家入一真33歳。
貧乏、ひきこもり、中卒。
逃げてばかりで、コンプレックスの塊の僕は、
ビジネスを立ち上げて「場」をつくり続けることで、
自分の仕事をつくっている。
この本は、厳しいと言われる時代を
悪ふざけして生き抜くための、
家入一真の「サバイバル・マニュアル」だ。
とことん自分に正直に生きろ。
『もっと自由に働きたい』 -家入一真- より引用
「現状から逃げ出したいと思っている人へ」と呼びかける冒頭は、家入さんの簡単な自己紹介からから始まります。
自分がどういう人間か、何を思っているか、この本がどういうものか、何を感じて欲しいか……。
よくある成功者の本は読んだことがないので、比べることが出来ないのですが、家入さんはこの本の内容を「これはあくまで僕の場合」と位置づけ、「あなたと僕は違う」「自分で考えろ」と言っています。
その上で「一つでもあなたの人生のヒントがあれば、嬉しく思う。」と冒頭を締めくくります。
何より好感が持てるのは、家入さんが自分の言葉で語っていることでしょう。
とてもフランクな話し言葉で、難しいことは書いていません。
今、目の前で、ビールでも飲みながらお話を聞いているような、そんな感じ。
この本全編を通して貫かれている雰囲気は、家入さんの生に近い「飾らない言葉」がまっすぐに飛び込んでくるからだと思います。
時折刺さるように心を打つのは、そのせいなのでしょう。
■STAGE1 「常識を疑って、逆いっちゃえば?」
このSTAGEは、社会常識に馴染めなかった家入さんが、どんな疑問を抱いて、その逆を行ってきたかというお話です。
◎1.非常識でいい
常識という名の下、人々は思考停止をしている。というのは、私自身、中学生くらいの頃から思っていたことでした。
常識を破壊するというアナーキーな行為を、私も評価するわけではありませんが、何も考えずそれに従うということは、結構怖いことだと思うのです。
「社会はそのように回っている」「そういう空気に暗に逆らえない」わかります。そういうものです。
でも。あなたはそれで本当にいいの?
常に自問自答する。考えることをやめない。それは私が思い続けていたことです。
常識を疑え、という言葉は強いですが、つまり思考停止しちゃいけないよ、ということだと思うのです。
考え始めれば始めるほど、私達の日常と常識は、思考停止で溢れているんです。
◎2.就職しない
私も就活はしていません。大学行ってませんし。
面接を繰り返して「私を使ってください」をしている中で決まった会社だから、「選ばれた」という意識が強くなって不満が生まれるんじゃないか?と家入さん。
でも、そもそも就活という道を選んだのは自分だよ、と。そう、就活をしないという道もあるんですよね。
私は、高校時代、親のすねをかじって大学に行く人達が嫌いでした。尖っていたんですね。
私の家も、家入さんほどではないけど貧乏で、仕送りはもらいませんでした。大学もお金がないと思って早々に諦めた口です。
でも大学に行く人達より、絶対将来形になると信じていたし、根拠の無い自信もありました。
自慢できる人生ではないかもしれないけれど、経験だけは豊富です。そして、その経験が正直に役に立ちました。
「なんだか変わった面白い子」と気に入って頂けましたし、いつの間にかそれがお金に変わってもいました。
人生何があるかわかりません。
何が言いたいかというと、大学生が嫌いですという話ではなくて、就活しなくても、就職できるし、ものにもなるということです。
◎3.就活しない
上のお話にも通じますが、就活ってなんでルールがあるんですかね?
みんな同じ格好で同じ時期に気持ち悪い、と家入さんも言っていますが、面接官も大変ですよね。同じような子ばっかりで。
私ならスーツじゃなくて私服で来て欲しいです。そっちのほうがよっぽど人となりが分かりますし。
面接が成功した話って、結構マニュアルから外れたようなものが多くないですか?
ひょんなことで話が脱線して盛り上がって、面接官に気に入られてしまったとか、どう考えても失敗の流れで、とんでもないアドリブが炸裂したとか。
家入さんの言う「売り」ってまさにそういうことで、面白みのない人なんて、私だったら一緒に仕事したくありません。
面白みは何も、人格ということでもなくて、一点突破の武器になるものなら、なんでも面白みだと思います。
実際一芸に秀でた人って、大抵どこか欠落してたりしますから。褒め言葉だと思ってください。
そんな自分を、自分の言葉で語れ、と家入さんは言います。私も賛成です。
口下手でもなんでもいいと思いますよ。
自分に物語を持つということ。何にもない人間なんていませんよ。そんなものガラクタだと思っているものが光ったりするのです。
それを、恐れず語ればいいのだと思います。きっとあなたのウリになります。
「アニメはほとんど見れてません、漫画もそこそこです。ラノベもまだ少ししか読んでいません。でも4歳の頃から毎日していた妄想ごっこで、私は物語を作れるようになりました。オタクの皆さんが白目をむくような可愛いキャラのセリフを考えられます。知識はこれから補完します。故にもっと最強になります」
以上、わたしのウリでした。こんなもんですよ。
◎4.三年も我慢しない
とってもとっても刺さりました。
私は一つの職場に3年いた事がありません。それを恥ずかしいことだと感じていた時期もありました。
人ができることができないというのは、私にとって単純にダメージでした。
でも、きっと自分はそういうことが出来ない人種なんだと、どこかで受け入れてからは変わってきました。
今の会社は、今までで一番フィット感がありましたが、次第に、これ以上の出世が自分に必要なのか、やりたくないことを学んで我慢してやることが、今後の自分の人生上のパフォーマンスをあげることにつながるのかと考えたら、途端に意味の薄い空間になってしまいました。
もちろん、学ぶこと、できるようになることは無駄ではありませんが、私が目指しているのはマネージメントができ、完璧にプロジェクトを回すこともできるクリエイターではないのです。
「いつか必要になるかも」に時間が割けるほど、人生余裕綽々に生きれませんから。
自分の人生のリソースは限られているということを理解する上で、一つの場所に長く居続けることだけが正解とは、言えないと思うのです。
家入流でいうと、3ヶ月でものを考えてみようということですが、その頃には私は会社を去り、一人になっています。
何ができているのか、考えていかなくてはいけないなぁと思います。
◎5.依存しない
ちょっと、難しいことを言っていると思います。
でも、きっと言いたいことは「思考停止するな」「思うように行動しろ、自分を優先しろ」「行動に伴う責任は自分で取れ」という3つだと思います。
自分一人で生きていけるようになれ、というのが一つのテーマだと思うので、そこから考えると、大きなものに依存しないということは、自分を流そうとするものを振り払え、切り離せ、ということなのではないでしょうか。
◎6.安定はいらない
今の会社を辞めると決めた時、一番初めに考えたのは「人」でした。
とてもよい仲間に囲まれて仕事をしています。
能力もあり、そして楽しい人達。毎日顔を合わせるのは楽しかったし、仕事をしていても阿吽の呼吸というところもあり……。
もう一緒に仕事ができないということは、自分の人生において重大な喪失なのではないか?と不安になったこともありました。
でも今は思っていません。
寂しさに変わりはありませんが、ここにいる限りこの人達としか仕事はできませんし、ここにいるがゆえの制約があるわけです。
人は出会い、分かれていくものです。ずっとは一緒に入れませんし、むしろそうやって人間関係は代謝させて行くべき代物だと思います。
もう一つは収入。ちょっと前までは本当に明日ともしれぬ生活をしていたのですが、今は同じ年齢の方と比べるとかなり頂いている方だと思います。
でも、それもなくなります。
不思議と怖くないんですよね。
それは、まぁ同じとは行かなくてもそこそこ生活はできるだろうと思える実力と自信が付いたこともありますし、昔抱いていた拘りがぽろっと取れたことも大きいです。
例えば、困ったら実家帰ればいいし、みたいな。昔は一ミリも考えませんでした。
今はネットとPCがあれば収入が得られるなんて、私も成長したものです……。というのは独り言として。
前に進むということは、居場所を変えるということでもある。
安住の地を離れていくことでもあるということを、肝に銘じる。
そしてそうあることを恐れない。むしろ楽しむ。というくらいでいきましょうよ、ということですね。
はい、私今、楽しいですから。
◎7.肩書きはいらない
これも、とっても刺さりました。
私、名刺作ろうと思っていたんですが、肩書ですごく悩んでいました。
作家、と書くと小説しか書かなそうだし。ライター、って書くとキャッチコピーしか書かなそうだし。
クリエイター、ってのもなんとなく。文字書かなそう。
とか思っていたのですが、もう名前だけでいいですね。と思ったり。
仕事は結局人、というのは火を見るより明らかだと、思っています。
私はわりと人情の人なので、担当さんの人間力があると、商品が良くなくても頑張ってください、私も頑張りますから!となってしまうタイプで。
でもそこまで悪いことだとも思ってなかったり。
その逆で、私はとにかく各社担当さんにファンになってもらうつもりで仕事をしてました。
「綾瀬さんだから」「綾瀬さんだったら」と言われたら私の勝ちなのです。そして私は笑顔でさらっとぶっ込んだりするのです。
だからやっぱり、名刺に肩書いりませんよね。
「綾瀬みう」というコンテンツであり、職業になればよいのですから。
一緒に何かしたい人に、私はなりたい。
◎8.憧れない
耳が、痛い。
私は、ずっと誰かに憧れていました。そしてその人の背中を追いかけに追いかけて。
それを繰り返してきました。
ただある時点で、一度色んな物がリセットされて、空っぽになった後に、今に至ります。
今はむくむくとやる気の虫ですが、少し前はそうではなかったのです。
その時にロストしたものの中に、「憧れの人」も含まれていました。でも今はいません。
そして、今後は設定しないで生きていこうと思います。
この項を読んでいると、「憧れの人」がいた時の自分がありありと浮かぶようです。
たくさんのものも学んだ、でも確かにそれを越えていける可能性は、今思えばほとんど0だった。
それを後悔はしていません。今、きちんと経験則として捉えることができるのですから。
これからの私は、今度こそ越えられなかったもの達を越えて行きたい。
願わくばもう一度、渾身の力を込めて進みたいと思っています。
だからもう、誰にも憧れません。私は、私です。
◎9.空気は読まない
ここは、納得の部分と、これは家入流でなかなか真似できないな、という部分が入り混じった項。
でも一貫して言えるのは「小細工なんかすぐボロが出る、ありのまま、自分の流儀でいこうよ」ということだと思います。
「そこはこうでしょ」に対して「なんで?」と言えること。それはただ尖って世間様に中指を立てるということではなく、自分の疑問と言葉で抗議できるということ。
空気を読まない、と自分はこうですと胸を張ることは、一緒かなって思いました。
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ここまで書いて思いました。
このままSTAGE4まで書いたら、優に2万文字を超える、と。
私のための記録でもあるので、それでもよいのですが、ブログという体裁を保っている以上、このまま書き続けるのは目に毒だと判断いたしました。
そして思いの外、時間がかかる!
次のホームステイ先も決まっていることですし、あまり時間もかけられません。
ただいま手元にある本はステイさせ、新しいものを自分用に購入して、続きをSTAGEずつに分けて書いていこうと思います。
次のSTAGE2は、家入さんの経験談を交えながらの、あえて「逃げ出す」ことの提案。
私の心に、一番深く刺さったSTAGEでした。
続きは改めて書かせて頂きます。
いったん、おしまい。