『四畳半神話大系』ー森見登美彦ー を、読みました。

『四畳半神話大系』という名前自体は、かなり前に聞いた友人の話で頭に残っていました。

「今やってる四畳半神話大系ってアニメがすごく面白い、絶対好きだと思う。」というような話だった気がします。

ちょっと前にKindleのセールでこちらがすごく安くなっていたので、買っておいたのですが、帰省中に読了したので、その感想を書いてみたいと思います。

 

例の如く、ネタバレ含みますので、未読の方はご注意ください。

 

まず、始めに目を引いたのはその文体でした。

昭和文学を思わせるような文章で、真っ先に浮かんだのは、「さよなら絶望先生」の糸色望みたいな「書生」スタイルの「私」の服装なのですが、よくよく呼んでいくと舞台設定はもっと最近のようで、平成なのかもしれません。

画像検索でアニメの画像をいくらか見ましたが、ヒロインの明石さんの格好を見ると現代っぽいですし。

ただ、文体のせいで、なんだか昭和の時代の話なような気がしてくるし、現代を象徴する描写が出てきた時にはそれが無理やりこちら側に戻されるような感じがして、妙なふわふわ感が良い意味で気持ち悪くて心地よかったです。

また、そんな古めかしい文体のくせに、ときおりチラリと覗くユーモアな言葉が、若干ラノベ的だったりして(私の感覚では)その狙ったアンバランスもまた良い読み味を作っている気がしました。

 

「あのときこうしていたら」という起点から分かれていく「私」の人生を綴った4つの話。

すべては独立した別の話で、パラレルワールド的なのですが、実はどこかつながっている事を示唆する描写が時折現れ、それが琴線を刺激します。

特に最終話の「八十日間四畳半一周」の世界観は、独特かつこれまでの流れが精算されるような、納得感のあるお話です。

 

何より痺れたのが、この4つの話に登場する「全く同じ文章の部分」です。

「私」の選択によって、事件の当事者が変わったり、発言主が変わっていったりするわけですが、それについての描写が全く同じ「文章」で描かれるのです。

例えるならば、Aというベースストーリーがあって、それを段落ごとに切り分けていき、並べ直して別のストーリーを作っていくような。

もちろんそれだけでは、すべてを語りきることは出来ないので、まったく新しいシーンが書き足されたりはしているのですが、大部分が同じ。

ただ、順序が違う。それによってその文章が持っていた意味も変わってくる。もしくは分からなかったことが見えてくる。

非常に妙だなぁ!と思いました。

そしてこんなにすごい勢いで読み飛ばしながら読めた小説は初めてです笑(良い意味で!)

 

お話としての面白さと、小説としての技工と、2つの面で唸るばかりの本でした。

 

個人的な感想としては、どんな道を辿っても、結局同じ人達と出会っていき、そして最後はヒロインと結ばれる、というのがよかった。非常によかったです。

なんだか素直に運命論を信じたくなる、説得されてしまった気がしました。

そして、明石さんすごく素敵なヒロイン。

 

もう一つ、キーパーソン小津ですが。

彼が、頑なに彼女の存在を隠すわけですが、これって、「私」に対する、「彼なりの愛」なんでしょうね。

最後の最後に、そんな気がしました。

 

これはアニメの方も是非見てみようと思っています!

森見登美彦さんの本はもう一冊買っているので、そちらも楽しみです。

というわけで、素直にオススメしたい一冊でございます。

 

 


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