今、ちょっとお仕事の相談をされている方達と久しぶりに会ってきました。
新オフィスにお引越ししたばかりで、わーきゃー言いながらお話をしてきました。
その中で「webソーシャルゲームって結局どうだったのよ」というお話や、「じゃあ今後ネイティブってどうなっていくのよ」なんて話をあれこれとしました。
私は、今イラストレーションを制作している部署に所属しています。
最近でこそ、声優さんの案件やお話作りをしていましたが、ちょっと前は、2プロジェクトくらいのイラスト量を、パートナーさんをがりがりハンドリングしながら作っていたのです。
なのでイラストについて体系的な知識はないながらも、そこそこディレクション紛いのことや、アイデアベースのプロデュースはできます。
Webソーシャルゲームは、やはりイラスト需要が大きかった。
「カード」という商品をどのようなエンジンに載せていかに売るか、という概念は間違いなく存在したと思うのですが、その中でイラストは「商品価値」を明確に左右するものでした。
たくさんあるほどいいし、良いイラストほど商品価値を高くつけることができた。
もちろんゲームエンジンの面白さや施策の妙がないことには成立しないものではありましたが、その逆、そちらが弱くてもイラストの力でそこそこ引っ張ることなんかも出来てきたと思っています。
その反面、「物語」は比較的軽視されてきた。
そもそも、Webソーシャルゲームは「スピード」でしかないなんて言われるくらい回転率が求められる世界だったので、その中での世界観の作り込みというのは難しかった。
そして、ある程度のものが実装されていればそれでよかった。
結局5番キー連打で飛ばされてしまう程度の物語でしかなくて、読み物なんてスキップされてしまうじゃないか、という認識。
カードのフレーバーテキストや、イベントのパッケージで語れるくらいの物語で十分だった。
わりと作りこんでいると「すごいじゃん」となってしまうような風潮。
何よりも合言葉は「数字で見えにくい。売上に直結しない」だったんじゃないかと思います。
さて、今と、これからはどうなるか。
webソーシャルゲームは、もう末期に来ていると思います。
というのは、市場のシュリンクという話だけでなく、現状リリースしているヒットタイトルのリッチさから逆引きして、もうこれ以上何するの?という臨界点が見えてしまっている気がすることです。
2Dイラスト表現のクオリティは来るとこまで来ていると思うし、リアルアイムでバトルが出来たり、アバターがグリグリ動いて必殺技モーションが見れたり。
物語というところで見ても、結構大河的なストーリーを見せてくれたりしている。
ただ、これ以上は物理的な容量がもうパンパンっす、というところまで来ているんです。
あとは、何度があったような、パラダイムシフト的ゲームエンジンの革新。
でも、あるのかなぁ……。現場にいるとそう思ってしまう。
では、ネイティブは?
これはもう、正直わかんないのです。
なぜなら、Webソーシャルゲームのノウハウは通じるようで通じないから。
もう違う市場だし、Webソーシャルゲームはベンチマークのトレース&ブラッシュアップで売上の予想が立てられた。
でも、ネイティブには、普遍的なヒットモデルが今のところ存在しません。
パズドラもブレイブフロンティアも、いわゆる「ヒットゲーム持つの事故性」みたいなものを内包している気がして、純粋で正当な評価はできないし、その原因をロジカルに語れないと思うのです。
詳しく書くと長くなるので割愛しますが……。
じゃあ何が当たるの? ……分かりません。
これが、今のネイティブ。
「面白いと思うものを信じて作るしかない」という状況で、これって結局博打なんです。
だから夢見るなって話ではないのですが、普通に怖いよなぁとは、思ってしまいます。
なんだかネガティブな感じになってきましたが、暗い話をしたいのではなく。
単に「Webソーシャルゲームとネイティブアプリは別の文脈で語る必要はあるよね」という話です。
もちろんWebソーシャルゲーム屋さんが培ってきたノウハウは生きるはずだし、使うべきなんですけどね。
そんな中、私事で考えるのは、「物語の価値」です。
ネイティブはよりリッチに「ゲーム」に立ち戻ってきている。
ファミコンみたいだとか、スーファミっぽい、という話は最近聞きます。
でも内容的にはまさにそれくらいの感じかもしれないですね。
あの頃ワクワクしたゲームに、明確に存在したものがあります。
そう、「物語」なんです。
Webソーシャルゲームでは軽視されがちだったそれが、今じわじわと復権してきている気がする。
何もそれがあることがネイティブの条件でもないし、売れる秘訣でもない。
でも、私みたいな物語が作りたい人間にとっては、ちょっと朗報な気もするのです。
「イラストバブル」から「物語バブル」へ。
なんて、真夜中の戯言的妄想を浮かべる私なのです。